弥生3月
皆さま、こんにちは、ぺんたんです。
暖かい日、寒い日、入り乱れての3月でした。
珍しく体調を崩し気味だった私、、(人災です)
ドライブモードでアクセルを踏んだり、離したり、、。
あ、でも安心してください、私の愛車はエンジンブレーキがバッチリ効くお利口さんな車なのです。
そんな3月を振り返って、。
あこがれ
いつだったか、あれは確か薬膳師会の会報誌だったと思います。
研修で中国を訪れた方達のレポートが載っていました。現地での講義の様子や、レストランでの数々の薬膳料理、「美味しそう〜」と思って見ていた私の目に圧倒される様な写真が飛び込んできました。
鳳凰の形に作られたデザートの盛り合わせ、和食の舟盛りの様なダイナミックさで、鳳凰が羽根を広げて、今にも飛び立とうかと思わせる様な素晴らしい盛り付けです。
よくよく見れば、材料はアッポーやパイナポー、その他もろもろのフルーツで、取り立てて珍しいフルーツもありません。けれど圧巻の美しさ、迫力、。
あぁ、私もいつかこんな一品を作れたら、、と思ったものです。
鯛をめぐる随想
そんな憧れを抱きながら、日々コツコツと薬膳作り、。
そしてある日、運命の出会い?ではありませんが、大変珍しい食材に出会いました。
「マトウダイ」です。
フランス料理ではサンピエールと呼ばれムニエルの定番となる魚です。
ですが、こんな滅多に出会えない、しかも新鮮な鯛をムニエルにしてしまう勇気は私にはありません。
やはりお刺身で頂くとして、さて、何と組み合わせるか?
気の巡りを良くする食薬との組み合わせが良いけれど、玉ねぎ?うーん、これでは色がはっきりしない、もっと鮮やかにしたい、、
そうだ、オレンジ系、伊予柑か甘夏か、、
頭の中でオレンジ色と鯛の薄ピンクを想像して見ます、いい感じ、、。
その時、こんな声が聞こえます「色は3色迄に抑えるのよ。」以前読んだ本の一節です。本の中では、ファッションの初心者に対しての言葉だった様に思いますが、何故か私の心に印象深く残っているのです。
あと1色、当然野菜が欲しい、、緑だ、、薬膳的には、ほうれん草でも、小松菜でも、アスパラガスでもokだけど、ほうれん草や小松菜では緑が濃すぎるから、、よしっアスパラガス!
そして、、運の良い事に手に入った山わさびを擦りおろして、ドレッシングです。
こんな風にして出来上がったのが「鯛のお祝い薬膳」です。
勿論、『鳳凰のデザート盛り合わせ』には遠く及びませんが、憧れに少しでも近づき鯛、、(笑)
「綺麗だね」と言ってくださった皆様、ありがとうございました、とっても嬉しかったです(^^)
そして、私の中の更なる憧れは、理論的に素晴らしい組み合わせで作られた薬膳が、見た目には全く薬膳を感じさせない圧倒的に美しい料理。
「うわぁ〜」と叫びたくなる様な、或いは余りの美しさに息を呑む様な、、理論的な説明など全く必要のない料理。
要するに理論を超越したい、、なんて大それた野望、、です。
けれど、絵画でも音楽でもスポーツでも後世まで受け継がれて行くものって、そう言うものですよね。一見、何の理論も感じさせないような名画、名曲、名勝負に、実はもの凄ーく緻密な計算が隠されていて、、。
誰からの解説もなく、自力でこの裏側の理論に気づけた時は、天にも昇るほどの感動を覚えちゃいます、例えそれがどんなに些細な事だったとしても、、。
だから私も献立を作る時は、考えて考えて考えて、食薬辞典や中医学の本で調べて調べて調べて、作る。
でも、出来上がったら、全てを忘れて、ただひたすら、目の前の料理を楽しむ、、です。
自然界便り
右上は、秋蒔きのルッコラの花です。ルッコラはゴマの味がするハーブ、プランターで簡単に育ちますので便利です。サラダに加えると、ちょっとオシャレでピリッとした辛味が良いアクセントになります。また、種を蒔きました。
田んぼの土手にいっぱいのつくし、、野焼きの後から顔を出してます。なので頭の先っちょが黒いです。卵とじと、ツクシご飯にして頂きました。
つくし
効能:駆虫、止咳、解熱消炎(淋病・膀胱炎・腎臓病)利尿、下痢、漆かぶれ
編集後記
私の心に残ってしまった「色は3色迄に抑えるのよ。」は、米原万里著『オリガ・モリソヴナの反語法』と言う本の中の言葉です。この本を読まれた方なら、「どうしてこの台詞が残ったの?他に刺激的な文、満載でしょ。」と言われると思います。そうなんです、この台詞よりもずっとずっとこの本の内容は印象深いお話なのです、が、、色遣いに自身のない私にとっては、きっと天の声のように聞こえたんだと思います。
今月も、訪れてくださった皆様、コメント、スターをくださった皆様、ブックマークしてくださった皆様、新しく読者になってくださった皆様、本当にありがとうございます。
春、出会いと別れの季節でしょうか、。
終わりは始まり、始まりは終わり、、
始点も終点もない楕円の宇宙を巡りながら、それでも新しい息吹きを感じて、。