蓮子もいれて心を養う
ヒュル〜
ヒュルーー
仙「トンボ、、か、、。秋じゃな、、。」
ぺ「は、、、。」
仙「なんじゃ、気のない返事じゃ。」
ぺ「この夏の疲れが、、。」ぐたっ
仙「ふむ、確かに今年の夏は猛暑の日々であったからのう。良し、ぺんたんよ、皆を呼べ。」
ぺ「ふぇ?」
仙「夏の疲れを取る、薬膳講座じゃ。」
ぺ「は、はい。」
仙人の薬膳講座
仙「皆、良く集まってくれたのう。」
皆「はい、。」
仙「9月にはなったが、どうも夏の疲れが、、という人もおるじゃろう。そこで今日は疲労回復の薬膳を作る事にした。」
皆「それはうれしいです、。」
ざわわ
ざわざわ
仙「疲労回復には、まず『気』を補う事が大切じゃが、暑かった日々で陰液も消耗しておる。」
皆「はい、、。」
仙「汗をかいて心(しん)にも負担がかかっておるからのう、心気を補い、陰液を補う薬膳を作るとしよう。」
皆「はい。」
ぺ「それでは皆さん、今日は気を補う鶏肉と、陰液を補う玉子、それに心に帰経する蓮子(れんし)、これは蓮の実の事です。それから疲労回復にぴったりの梅酒と梅酒の実を使って薬膳を作ります。」
わいわい
ガヤガヤ
皆「美味しそう、、。」
皆「私、蓮の実、、初めてだわ、楽しみ、。」
皆「梅酒、たくさん作ってあるから、使えて嬉しい、。」
ぺ「はい、では、まず、手羽元の骨のところに、適当な切り込みを入れます。」
ザクザク
ぺ「そして、軽く塩胡椒をして、。」
パパッ
ぺ「梅酒と醤油を合わせたタレに漬け込んでおきます。」
ドボドボ
仙「柔らかくなって、梅酒の味がしみて、うまいのじゃ、。」
ぺ「続いて、玉子と蓮子を茹でます。」
フツフツ
ぺ「蓮子は沸騰したお湯に入れて茹でます。茹で汁も使うので、捨てないでくださいね。」
仙「薬膳ではいつも茹で汁も大事なんじゃ。」
ぺ「玉ねぎはザックリ、にんじんは乱切りにします。」
ザクッ
ザクッ
トントントン
ぺ「鍋に、手羽元をタレごと入れ、先ほどの蓮子の茹で汁、水、それから皆さん、梅酢も作りましたよね、その梅酢と、玉ねぎ、にんじん、卵を入れて、蓋をして煮ます。」
講習生「えー、、私、梅酢、もう全部使ってしまって、、。」
ぺ「あ、では代わりに、黒酢を入れてください。」
講習生「はい。」
仙「梅の実と蓮子は、まだ入れてはならぬぞ。」
皆「はーい。」
グツグツ
グツグツ
ぺ「20分ほど煮たら、梅の実と蓮子を入れ、今度は蓋を取って、更に煮込みます。」
グツグツ
グツグツ
ぺ「煮汁がなくなってきたら、、はい、出来上がり。」
ぽん
ぺ「手羽元と卵の梅酒煮込み、蓮子入り です。」
皆「わぁ、美味しそう、、。」
ぺ「では、皆さん、召し上がってください。」
皆「いただきまーす。」
パクッ
ムシャムシャ
皆「梅酒の味が沁みてる、、。」
皆「お肉、柔らか〜〜い。」
皆「梅の実も、柔らか〜〜い。」
皆「蓮子はほっくり、、美味しい。」
パク
パクパク
手羽元と卵の梅酒煮込み、蓮子入り
【立法:補益心気養陰】
材料(2人分)
手羽元4本、玉子2個、玉ねぎ1/2個、にんじん1/4本、梅酒の梅の実2個、蓮子6個
梅酒大さじ5、醤油大さじ1、塩、胡椒
作り方
- 手羽元は骨にそって切り込みを入れる。
- ボウルに手羽元を入れ、軽く塩胡椒し、梅酒と醤油を入れて混ぜ、1時間ほど浸けておく。
- 玉子を茹で、殻を剥く。蓮子は沸騰した湯に入れて柔らかくなるまで茹で、取り出す。茹で汁はとっておく。
- 玉ねぎはざく切り、にんじんは乱切りにする。
- 鍋に2をつけ汁ごと入れ、梅酢(黒酢)、玉子、玉ねぎ、にんじんを入れ、水1カップ(蓮子の茹で汁+水)を入れて火にかける。
- 沸騰したら弱火にして20分煮る。
- 6に梅の実と蓮子を入れ、蓋を取って更に15分〜20分煮込む。
鶏肉 補気類
[性味/帰経 ] 平(温)、甘/ 脾、胃
[働き]⑴補中益気 脾胃虚弱、消渇(糖尿)、食欲不振、下痢
⑵補精添髄 虚弱体質、消痩、産後無乳、四肢無力
⑶降気止逆 咳、げっぷ、しゃっくり
玉子 滋陰類
[性味/帰経 ] 平、甘/ 肺、心、脾、肝、腎
[働き]⑴滋陰潤燥 空咳、口渇
⑵清咽開音 目赤、声嗄れ、発声困難、のどの痛み
⑶養血安胎 不眠、多夢、めまい、精神不安、胎動不安
玉葱 理気類
[性味/帰経 ] 温、辛、甘/脾、胃、肺、心
[働き]⑴健脾理気 食欲不振、下痢
⑵和胃消食 げっぷ、吐き気、胃もたれ
⑶発表通陽 発熱、悪寒
にんじん 養血類
[性味/帰経 ] 平(微温)、甘/肺、脾、胃、肝
[働き]⑴養血明目益肝 血虚による目の乾燥、かすみ、視力低下
⑵斂肺止咳 咳、咳痰
烏梅(梅) 収渋類
[性味/帰経 ] 平、酸/肝、脾、肺、大腸
[働き]⑴斂肺止咳 肺虚の慢性咳、喘息
⑵渋腸止瀉 慢性の下痢
⑶生津止渇 虚熱の消渇
⑶安蛔止痛 回虫による腹痛、嘔吐
蓮実(はすのみ) 収渋類
[性味/帰経 ] 平、甘、渋/ 脾、腎、心
[働き]⑴補脾止瀉 脾虚の慢性下痢、食欲不振
⑶養心安神 虚煩、動悸、不眠
*「梅酢」の作り方はこちら
*「心」に良い「蓮子」を使った薬膳はこちら
仙人問答
ぺ「仙人、今日の梅酒煮込み、すっごく美味しかったです。お陰で、すっかり元気、元気、。」
仙「ふむ、疲労回復の薬膳にも、色々あるがのう。」
ぺ「はい、、」
仙「夏の疲れで心気が弱っておるときは、気虚によい補気類の鶏肉や長芋・じゃが芋、それに収渋類の梅・蓮子・五味子などが良いのじゃ。」
ぺ「なるほど、、。たくさん、汗をかいて、心ファイヤーもぐったり、、ですものね。」
仙「梅・蓮子・五味子の酸味は収斂止汗の働きがあるからのう。」
ぺ「はい、。」
仙「今日は夏の疲労回復の薬膳を作ったが、働き過ぎの疲労なら、気血を補う事が重要になって来る。疲労の原因をしっかりと探って、献立を考えるのじゃぞ。」
ぺ「はい。」
仙「さて、、台風も近づいておる。わしは山のパトロールに行って来る、。」
ぺ「はい、仙人、お気をつけて、。」
仙「ふむ、山にも里にも被害が出ぬと良いが、、。」
ヒューン