大丈夫、安神してください!
そよそよ〜
そよそよ〜
ケア「マスター、もうすっかり秋、、ですね。」
マスター「ええ、涼しくなってきました。」
ケア「ふう、、。」
マスター「大変なお仕事ですね、、次から次へと、、。」
ケア「はい、池向こうのデイサービスセンターの問題もうやむやなまま、、今度はこんな、、。」
マスター「まだ、詳しいことはわかっていないのですね。」
ケア「ええ、でもどこのお宅へ伺っても同じような問題が起こっていて、、もう、、何がなんだか、。」
マスター「今、心が安定する薬膳茶、、お淹れします。」
ケア「ありがとうございます。以前もマスターに決明茶を淹れていただいて、、。」
ぎぃ〜
ぺ「こんにちは〜」
マスター「ぺんたんさん、、いらっしゃいませ。」
ぺ「マスター、、外は気持ちの良い風が吹いてますよ〜。」
ケア「あの、、。」
ぺ「あ、ケアマネージャーさん、、お久しぶりです。」
ケア「ぺんたんさん、、相変わらずお元気そうで、。」
ぺ「アハハ、、それだけが取り柄で、、。」
チラッ
ぺ「マスター、、何を作って見えるのですか?」
マスター「はい、これです、。」
ぽん
ぺ「酸棗仁と、、百合、、。これで薬膳茶を?」
マスター「はい、ケアマネージャーさんが色々と心労が絶えないようなので、。」
ぺ「そうなんですか、、。」
ケア「ぺんたんさん、何かご存知ないかしら、。このところ訪問介護に伺うとどこの家でも同じような問題が起こっているんですが、。」
ぺ「同じような問題?」
ケア「はい、。ご家族が仰るには、『ジジやババが、孫や、親戚や、そのほか知り合いにやたらと物を送っている。』と、。」
ぺ「物を送る?」
ケア「はい、初めのうちは皆、美味しいお菓子が届いたとか、旬のフルーツを送ってくれた、とか、喜んでいたのですが、あまりにも頻繁なので、だんだん心配になってきて、問い正してみると、どうもポストオフィスから送っているらしい、、という事なんです。」
ぺ「ポストオフィス、、、あ!」
マスター「ぺんたんさん、何か心当たりが?」
ぺ「はい、、丁度その話、、田んぼのババから聞いたところなんです。」
ケア「田んぼのババも?ババもやはり皆に何か送っているのですか?」
ぺ「いえ、ババは大丈夫です。」
ケア「ぺんたんさん、是非詳しく教えてください。」
ぺ「はい。では、私がババから聞いた事、お話しますね。」
ぺ「このところ、ババが『頻尿だ、腎ウォーターが弱っている、』と言うので、私は腎気を高め引き締める薬膳を作ってババの家に何度か通っていたのです。するとババがこんな面白い話をしてくれました。」
ーーー ♪ ーーー ♪ ーー〜
ババ「ぺんたんよ、里外れのポストオフィスを知っておるじゃろ。この里の老人たちは皆あのポストオフィスへ年金をおろしに行っておる、あの、あのポストオフィスじゃ。」
ぺ「うん、私はあまり行かないけど、、。」
ババ「最近、あのポストオフィスの周りの田んぼに、妙なサギが舞い降りてな。」
ぺ「サギ、白サギ?」
ババ「いやいや、、変わった鳴き声でなくサギじゃ。」
ぺ「変わった鳴き声?」
ババ「老人たちがポストオフィスに入るとな、サギたちは一斉に鳴き出すのじゃ。」
ぺ「一斉に?」
ババ「送れ〜送れ〜送れ〜♪
送れ〜〜〜っ♪
孫に送れ〜
孫に送れ〜(コーラス)
息子に送れ〜
息子に送れ〜(コーラス)
親戚にも送れーーー っ♪
送れっ 送れっ送れ〜〜〜っ(コーラス)
とな。」
ぺ「なに、、それ、、サギが歌うの?」
ババ「歌ってハモる。」
ぺ「歌ってハモる、アハハ、、アレクサみたい、。」
ババ「そしてその歌声を聞いた老人たちは皆、無性に何か送りたくなって、思わずそこにおいてあるパンフレットを手に取り、果物やら、菓子やら、海の幸、山の幸やらを送ってしまうのじゃ。」
ぺ「えーーーっ、なんなのそのサギ、、。」
ババ「オクレオクレサギ、じゃ。」
ぺ「オクレオクレサギ? オレオレサギじゃなくて、オクレオクレサギ、、ポストオフィスで、、。」
ババ「偶数月の15日、、つまり、年金支給日にやって来るサギじゃ。」
ぺ「年金支給日に!なんて事!! で、ババはババは大丈夫だった?」
ババ「もちろん、わしにもあのサギ達の声は聞こえた。」
ぺ「えッ、、ババも送りたくなったの?」
ババ「サギの声が届いたふりをして、、パンフレットを手に取った、そしてゆっくり、ゆっくり、1歩1歩、、ポストオフィスの窓口に近づき、。」
ぺ「近づき、、。」
ババ「窓口の向こうでニッコリ笑う人の顔をみながら、パンフレットと財布を置いたのじゃ。」
ぺ「えーーーッ。」
ババ「そして、そこで、ぺんたんが作ってくれた白豆と蓮子を取り出して、ぽんぽんと口へ放り込んだ。」
ぺ「え?ババ、持ち歩いてたの?」
ババ「食べ終わって、わしは財布に手を伸ばした。」
ぺ「もうっ、、ババ、。」
ババ「五行レンジャー達の声が聞こえた、腎ウォーターの声が届いた。」
ぺ「聞こえにくくなってた腎ウォーターの声が⁈」
ババ「『収斂益気の術。』腎ウォーターが低く厳かな声でささやいた。」
ぺ「腎ウォーター、、。」
ババ「わしの体に気が満ち溢れた、、そしてそれから、、右の手と、左の手で、財布の紐の両端を握り、、」
ぺ「握り、、。」
ババ「一気に財布の紐を、ギューーーッ、と引き締めた。」
ぺ「おぉぉぉ、、ババ、、。」
ババ「わしが思いっきり財布の紐を引き締めた時、、オクレオクレサギの断末魔の叫びが聞こえた。」
ぺ「すごい、すごい、さすがババ、、。」
ババ「いやしかし、まだまだあのポストオフィスの周りの田んぼには無数のオクレオクレサギが舞い降りて来る。用心せねばな。」
ーーー ♪ ーーー ♪ーー〜
ぺ「と、こんなお話だったんです。」
ケア「そうですか、、そう言う事でしたか、、ポストオフィスに、オクレオクレサギが、。」
マスター「まさか、ご老人の皆さんが安心して通うポストオフィスの周りにそんなサギが舞い降りて来るとは、。」
ケア「ぺんたんさん、ありがとう。これで納得できました。」
マスター「では、酸棗仁百合茶、ゆっくりお召し上がり下さい。」
ぽん
ごくっ
ケア「あぁ、優しいお味です。」
ぺ「ほんと、くせがない、、。酸棗仁、ナツメのお仲間ですね。酸棗仁入りなんて贅沢な薬膳茶です、、百合は食べちゃおうッと。」
パクッ
ケア「これを飲んで、私、、早速、訪問介護先を回ってみます。皆さんに注意を促さないと、。」
マスター「はい、まだまだ心労が絶えませんね。このお茶お持ちになって、就寝前にも忘れずにお召し上がり下さい。」
ケア「マスター、ありがとうございます。ぺんたんさんも、ありがとう。田んぼのババの家にも寄ってみます。」
【 酸棗仁百合茶 】
《 立法 : 養心安神 》
材料
1人1日分
- 酸棗仁 20g
- 乾燥百合(びゃくごう) 20g (生の百合根の場合は倍量)
- 水600ml
作り方
- 土鍋に分量の水と、酸棗仁、百合を入れて30分おく。
- 1を火にかけ、沸騰したら弱火にし30分煎じる。(蓋をする)
- 5分程蒸らし、濾す。(百合は食べられる)
- 食間と就寝前に温めて飲む。
酸棗仁(さんそうにん) 安神類
[性味/帰経 ] 平、酸、甘/心、肝、胆、脾
[働き]⑴補肝丁神 焦燥、熱感、動悸、不眠
⑵収斂止汗 体虚の多汗
百合 滋陰類
[性味/帰経 ] 微寒、甘、微苦/心、肺
[働き]⑴潤肺止咳 肺陰虚の空咳、少痰、喀血
⑵清心安神 動悸、不眠、夢多、精神不安、イライラ
*薬膳素材辞典より
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*「秋の食薬」はこちら
*「秋分の日」のお話はこちら
*9月の『薬膳酒ワークショップ』開催のお知らせ
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