腎陽を助陽する
ヒュー
ヒュー
ヒュルヒュル
ぺ「うっ 寒ッ、、。」
ぺ「走ろ、、。」
タッタ
タッタ
タタタターーッ
ぎぃ〜〜
ぺ「ハァハァ、、マスター、、こんにちはぁ〜」
マスター「いらっしゃいませ、ぺんたんさん。今年も宜しくお願い致します。」
ぺ「あ、マスター、こちらこそ宜しくお願いします!」
マスター「寒かったでしょう、さぁこちらへどうぞ。」
ぺ「はい、ありがとうございます。」
グツグツ
コトコト
ぺ「あれ、マスター、また新メニューですか?」
マスター「はい、寒いですからね、体を温める薬膳茶です。」
ちらっ
ぺ「綺麗な色ですね、、うっすらピンク、、」
マスター「はい、女性のお客様にね、。」
ぺ「うふふ、このお店のお客様は殆ど女性客ですもんね。」
マスター「女性は冷え性の方も多いですからね。」
パラパラッ
マスター「出来ました。桃胡桃茶です、どうぞ。」
ぽん
ぺ「うわぁ美味しそう、桃?クルミ?」
マスター「はい、桃缶を使って、クルミと併せ、コトコト温めました。シナモンスティックで混ぜながらお召し上がりください。」
ぺ「はい、、ふふ、シナモンスティック、、良いですね、あ、桃のスライスもクルミのつぶつぶものってる、、楽しい♪」
くるくる
くるくる
ぺ「いただきます、、ふぅふぅ、、」
パクッ
ゴクッ
ぺ「んん〜ッ、あったまる〜〜。」
ゴクッ
ぺ「シナモンの良い香り〜、それに上にのってるクラッシュしたクルミのつぶつぶ感がたまらない、。マスター、これすっごく美味しいです!」
マスター「良かった、新メニュー、、気に入って頂けて、。」
ぺ「桃、五果の一つですね、肺の働きを助ける、。」
マスター「ハイ、ですから咳の症状に良いのですよ、それに肺と表裏関係にある大腸にも作用して便通も良くします。」
ぺ「温めて、潤して、、ですね。あ、そう言えば、桃は邪気を払うとも言われていますよね、以前、京都の晴明神社に行ったときに置いてありましたよ、厄除けの桃。えーーっと、これがその写真です。」
サッ
マスター「ピカピカというか、、テカテカですね。」
ぺ「アハハ、参拝者が撫でまくってますからね、、ふふ、もちろんその時には私も撫で撫でして来ましたけど、、今はどうなってるんでしょうね?」
マスター「桃の下には五行の星もあり、。」
ぺ「下‼️ あ、そうだ、マスター、今日の薬膳茶、クルミと肉桂は、腎に作用して腎陽を助陽しますね。」
マスター「はい、腎陽は全身の陽の元ですからね、冷えにはまず腎陽を補陽する事です。」
ぺ「『下』、で思い出したんですよ、腎陽が不足していることを中医学ではよく『釜の下に薪がない』という表現をとるんです。」
マスター「釜の下に薪⁈」
ぺ「はい、釜は脾胃を表してると思うんですが、要するに、釜の下に薪がなくなり火が弱ってしまうとちゃんと調理することはできない、と言う事で、。」
マスター「なるほど、調理ができなければ、栄養のあるものも作れない、訳ですね。」
ぺ「はい、どんなに栄養のあるものを食べても、火が弱くなり脾胃の働きが悪くなれば、消化吸収がうまくいかず、栄養分が体に取り込まれなくなってしまうんです。」
マスター「この桃胡桃茶で、腎陽に薪を足し、温めて肺・大腸を潤し、冷えや咳を改善する、、。釜の下に火が入りましたから、脾胃の働きもバッチリですね。」
ぺ「はい、ただし、。」
マスター「ただし、肉桂は温裏類、。」
ぺ「ええ、温裏類は取りすぎると、火が強くなりすぎ、釜の水分が蒸発し乾燥してしまうので、。」
マスター「加減が大切、。」
ぺ「はい、仙人がいつも仰っている『良い加減』です。」
マスター「よく分かりました。」ニコッ
ゴクゴクっ
ぺ「マスター、ごちそうさまでした。美味しくて、すっごく暖まりました! あ、このシナモンスティック、頂いて帰っても良いですか?」
マスター「はい、どうぞ、スープやシチューにも良いですからね。」
ぺ「それはもちろんですが、、マスター、肉桂は薬酒にも抜群の効果を発揮する中薬なんです。なつめ酒や、人参酒、そしてもちろん桃酒・桃仁酒にも入れると味も効能もググッとアップです。」
マスター「それは美味しそうだ、今度、僕にも飲ませてくださいね。」
ぺ「はい!」
桃胡桃茶
《 立法: 補腎助陽定喘 》
材料(2人分)
- 桃缶の半割の桃2個
- 胡桃20g
- 桃缶のシロップ大さじ2
- 水1カップ
- シナモンスティック2本(又はシナモンパウダー)
作り方
- 桃は飾り用の桃を1ミリぐらいに4枚スライスしてとっておく。
- クルミも飾り用のものを少々、細かく刻んでとっておく。
- 1、2以外の桃、クルミ、シロップ、水をミキサーに入れて滑らかになるまで混ぜる。
- 3を鍋に移し、弱火でかき混ぜながらじっくり温める。
- 4を温めた器に注いで、スライス桃、クルミをのせて、シナモンスティックを添える。
- シナモンスティックで混ぜながら、頂く。
桃 補気類
[性味/帰経 ] 温、甘、酸/ 肺、肝、胃、大腸
[働き]⑴益気生津 疲れ、口渇、ほてり、盗汗
⑵養陰潤燥 腸燥便秘
⑶利肺鎮咳 風寒の咳、虚労の咳、喘息
⑷破血消積 腹痛、生理痛、不正出血
胡桃肉(ことうにく、くるみ) 助陽類
[性味/帰経 ] 温、甘/肝、腎、肺、大腸
⑵斂肺定喘 肺腎不足の吸気性呼吸困難、慢性咳、喘息
⑶潤腸通便 老人、虚弱者、病後の腸燥便秘
肉桂(シナモン) 温裏類
[性味/帰経 ] 大熱、辛、甘/腎、脾、肝、心
[働き]⑴補火助陽 脾腎陽虚の冷え、むくみ、勃起不全、生理不順、下痢、喘息、心悸、不眠
⑵温暖脾胃 脾胃虚寒の食欲低下、胃脘冷痛
⑶温通経脈 慢性の瘡瘍腫毒、閉経
⑷袪寒止痛 生理痛、関節・筋肉の寒湿痺痛
*薬膳素材辞典より
*「五果のお話」はこちら
*冷えに良い「乾姜と黒糖の甘酒」はこちら
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