秋には温燥と涼燥がある
ぺ「仙人、風も少しずつ爽やかになってきましたね。」
仙「そうじゃな、夏の暑熱に秋の燥が加わって、温燥になってくるんじゃ。」
ぺ「温燥?」
仙「そうじゃ、秋の前半を温燥、秋分を過ぎて気温も下がってきたら涼燥となる。秋の薬膳はな、温燥と涼燥を考えて作るんじゃぞ。」
ぺ「今は温燥ですね。仙人、秋に使う食薬の写真を撮ってみました。」
仙「一番手前がゆり根じゃな、あとは松の実、白ごま、銀耳(白きくらげ)、ビワの葉、梨、りんご。確かに秋に良いものばかりじゃ。」
ぺ「ゆり根はまだ生のものが出ていないので乾物です。他に柿などもこれから出てきますね。」
仙「ふむ、秋は肺メタルの機能が盛んになるのでな、肺を養う食薬が大事じゃな。」
ぺ「肺メタルは乾燥が嫌いなんですよね。」
仙「そうじゃ、燥邪がやってくるのじゃ。咳や痰が増え喘息にもなるぞ。燥邪に殺られぬために、肺を潤す食薬、肺を温める食薬をな。」
ぺ「はい、そうじゃ燥邪、、。それで温燥には、涼性が良いですよね?」
仙「暑さが残っておるのでな、涼性、甘味、苦味で余熱を清め、津液を生じさせるのじゃ。」
ぺ「はい、涼燥になったら温性ですね。」
仙「秋分を過ぎると冬の寒気が入ってくるのでな、温性、辛味、酸味の食薬が良いな。」
ぺ「ところで仙人、秋の食薬に枇杷がありますがこの時期、枇杷は手に入りません。写真には枇杷葉を撮りましたが、。」
仙「もちろん枇杷葉は良い中薬じゃ、咳や喘息に良いだけでなく、抗インフルエンザ作用もあるからのう。生の枇杷は手に入らんから、缶詰や瓶詰でも良いが、その場合は甘味を洗い流して使うんじゃ。」
ぺ「はい、わかりました。」
仙「秋は収穫の季節であり、また自然界は陽盛から陰盛へと変わっていく時期じゃ。人体の陰陽も『陽消陰長』になっていく。陽が減っていくので陽を補っていくのじゃ。」
ぺ「yoo yoo ですね。」
仙「秋は肺の気を整え、潤し、脾胃の調子を整えることじゃ。」
ぺ「はい。」
秋の食薬
肺を潤し津液を補う食薬
銀耳、松の実、白ごま、柿、杏仁(きょうにん)、ゆり根、卵、牛乳、豆乳、枸杞子
胃を養い津液を生じる食薬
気を補い肺を温める食薬
もち米、うるち米、くるみ、蜂蜜、鶏肉、五味子
仙人問答
仙「秋はものの形が定まる季節じゃ。天地の気が引き締まり澄んでくるように、すべてのものが収斂してくるのじゃ。」
ぺ「秋の空は澄んで美しいですものね。」
仙「秋は鶏のように早く起きて早く寝ることが大事じゃ。」
ぺ「早起きは苦手です、、。」
仙「志を安らかにし、遂げ得なかった志を悔やむことなく、心をゆったりさせる。」
ぺ「はい、悲しんだりすると肺に良くないですしね。」
仙「精神を落ち着かせ、秋の天地の粛殺の気が身体を損なうことのないよう、志を遂げようとやたらと動きまわり、冷えを受けて肺の臓を冷やすことがないよう、心がけよ。」
ぺ「粛殺の気、、。」
仙「厳しい秋気が草木を枯らすことじゃ。収斂を特徴とする秋の天地の気に相応じ、養生せよ。」
ぺ「はい、仙人、秋の養生をおろそかにすると、冬に発病したりするんですよね。」
仙「そうじゃ、、。秋の養生を怠れば冬に下痢を起こす病となるのじゃ。」
ぺ「秋は、収斂、。精神を落ち着かせ、肺を冷やさない、、。養生致します。」