湿をとって、渇きを潤す
しとしと
しとしと
ぺ「はぁ、今日も雨、、このところスッキリしないなぁ、、。」
ヒュヒューーン
仙「ぺんたんよ、戻ったぞ。今日の土産じゃ。」
ごろごろ
ごろん
ぺ「わ、大きな冬瓜、、。」
仙「どうじゃ、これで薬膳を作ってみては、、。」
ぺ「はい、。あ、そうだ仙人、この前の『最強の野菜スープ』、あれは何種類かの野菜を煮てスープにすれば良かったので、この冬瓜とあと適当に野菜を組み合わせれば『最強の野菜スープ』になりますね。」
仙「ふむ、そうじゃのう、確かに最強の野菜スープには なるのう。」
ぺ「野菜スープには、、?」
仙「最強の野菜スープにはなるが、薬膳にはならぬのう。」
ぺ「あ、、はい、、。」
仙「薬膳を作る時に、まず、考えねばならぬ事は何かのう?」
ぺ「えーーっと、、薬膳は目的に合わせて作るので、、症状とか、何を予防すべきか、、とか、。」
仙「そうじゃ、。つまり、弁証=証を見極め、立法=治療方針を立てる。薬膳を作る時は、まず『立法』ありき、、じゃ。」
ぺ「はい、そうでした。」
仙「冬瓜は利水滲湿類、解毒作用もあり、むくみを取り、渇きを潤す。」
ぺ「はい、、では、痰湿体質の人に良いですね。」
仙「そうじゃのう、、痰湿体質改善に向けて立法を立てるなら、例えば『利水滲湿』。」
ぺ「利尿作用を高め、湿をとる。」
仙「そうじゃ。」
ぺ「では、利水効果のある冬瓜に、熱を清める黒キクラゲ、代謝が良くなるオクラ、湿を発散しやすくする生姜とネギ、、これでお吸い物を作ります!」
仙「ふむ、やってみよ。」
ぺ「はい。」
ザバッ
ザバッ
シュッシュッ
ドサッ
仙「ぺんたんよ、、冬瓜の皮を捨てるのか? 冬瓜の皮は『冬瓜皮』と言う大事な中薬じゃぞ。」
ぺ「あ、はい、でも、、今まで冬瓜を使った薬膳を作った時は、捨ててたので、、いいかなぁって、、アハっ。」
仙「修行も3年目に入ったのじゃ。もう一歩前へ、。」
ぺ「おぉ、progress、『 ♪ ♪ あと一歩だけ、前に 進もう~ ♪ ♪ 』ですね。」
グツグツ
グツグツ
ぺ「仙人、皮もわたも種も、、20分煎じました。」
仙「よし、、では取り出して、冬瓜を入れ煮るが良い。」
ぺ「はい、ここからは簡単 、。」
グツグツ
グツグツ
ぺ「冬瓜が煮えたら、最後にオクラを入れて、。」
ぺ「はい、出来ました。冬瓜と黒木耳のお吸い物 です。」
仙「おぉ、良い出来じゃ。」
サーーッッ
ぺ「??? なんで、なんで、仙人、、お吸い物の上に手をかざして、、撫でた、、?」
ズズっ
パクッ
仙「うまい、冬瓜がトロっと、木耳はコリっと、オクラはシャキッと、、。」
ぺ「ほんと、あー、温まって潤う感じ、、。」
仙「冬瓜は尿の出を良くするだけでなく、喉の渇きにも良いからのう。」
ぺ「尿の出、、かぁ。亡くなったバッチャン1が、いつも『出ない出ない』って悩んでたわ、それですっごく浮腫んでた、。そう言えば、バッチャン1は、甘いものが大好きで、施設を抜け出してはコンビニでスィーツを買って、いっつも怒られてた。」
仙「ほぉ、そうか、バッチャン1は痰湿体質だったのか、、。」
ぺ「そうなのかなぁ、、。あっちもこっちも悪かったから、、、肝も心も、、。」
仙「ふむ、今日の薬膳は、尿の出の悪いお年寄りにも良いし、痰湿体質にも良いし、ダイエットにも良い。しかし、冬瓜は寒性じゃ、体を冷やし過ぎぬよう、生姜やネギと一緒に使う事を忘れずにな。」
ぺ「はい、。」
冬瓜と黒木耳のお吸い物
【 立法:利水滲湿】
材料(2人分)
冬瓜120g(皮なし)、黒木耳4g、オクラ2本、
ネギ10cm、生姜5g、
醤油大さじ1/2、
昆布だし汁+木耳の戻し汁=500cc
作り方
- 黒木耳を水で戻して食べ易い大きさに切る。オクラは斜め切り、生姜はみじん切り、ネギは小口切りにする。
- 冬瓜はしっかり洗って皮をむき、わた、種を取り、一口大に切る。
- 鍋に昆布だし汁と木耳の戻し汁を入れ、冬瓜皮・わた・種を入れて20分煎じる。
- 3から皮・わた・種を取り出し、冬瓜、黒木耳、生姜を入れて、冬瓜が柔らかくなるまで煮る。
- 冬瓜が煮えたら、醤油で味を整え、オクラを入れて一煮立ちさせ、火を止め蒸らす。
- 器に盛り、ネギを散らす。
冬瓜 利水滲湿類
[性味/帰経 ] 微寒、甘、淡/ 肺、大腸、膀胱
⑵生津止渇 消渇、口渇
冬瓜皮 利水滲湿類
性味/帰経 ] 微寒、甘/ 肺、胃、小腸、大腸
[働き]⑴清熱利水消腫 暑熱煩渇、尿の出が悪い、むくみ
黒木耳(くろきくらげ) 止血類
[性味/帰経 ] 平、甘/肺、胃、大腸
[働き]⑴涼血止血 各種出血、眼底出血、瘡瘍
⑵潤肺益胃 肺燥の空咳、腎陰虚の喉の乾き
⑶利腸通便 便秘
秋葵(オクラ) 消食類
[性味/帰経 ] 涼、辛、苦/肺、肝、胃
[働き]⑴疲労、食少、食欲不振
⑵虚性便秘、腹脹
*「痰湿体質のお話」はこちら
仙人問答
ぺ「ところで仙人、、さっき、どうしてお吸い物の上に手をかざして、撫でたんですか?」
仙「ウホホッ、、気がついたか、、これじゃよ、これ、、sensta 、、。」
ぺ「センスタ?」
仙「ほれ、前に薬膳講座を開いた時、、『インスタ映え~』とか言って、写真を撮っておったじゃろ。」
ぺ「はい、えーーっ、それ?」
仙「そうじゃ、皆に話したら、仙人界でもこれを取り入れようと言うことになってな、インスタならぬ仙スタを始めたのじゃ。」
ぺ「?それで、、なんで、手のひらで撫でたんですか?」
仙「ウハハハハ、、わしら仙人はスマホなど要らぬ、こうして手のひらをかざすだけで、もう仙スタにアップ出来るのじゃ。」
ぺ「えーー、でも、その写真、、どうやってみるんですか?」
仙「簡単じゃよ。誰かが写真をアップすれば、手のひらが光って、、ほれ、。」
ピカん
ぺ「あ、ほんと、、仙人の手のひらに何か写ってる、、。」
ピカん
ピカんピカん
ぺ「わ、面白ッ、、。」
ジロジロ
ジーッ
ぺ「ん??? 仙人、、これ、なんですか?何も写ってませんよ、、。」
シュッ
ぺ「ん、、これもボヤけてる、ボケボケ、。」
シュッ
ぺ「んん、、これもモヤモヤ、で、。」
仙「霞じゃよ霞、、。霞みに露じゃーー、、ウハハハハ~~〜」