雨 ; あめ ; 7月
皆さま、こんにちは、ぺんたんです。
シソ、エゴマ、ミツバ
シソ、エゴマ、ミツバ
シソ、エゴマ、シソ、ミツバ
増殖し続けるこの葉っぱを
毎日順番にグリンスムージーにして
ゴクリ ゴクリ と 夏の朝
余韻
ひぃひぃふぅふぅだった私の日常は、あっという間に元の日常を取り戻してしまった。
まるでこの6ヶ月間、何事もなかったかのように、いとも簡単に戻ってしまった。
以前にもこんな事があったっけ、と、ちょっと思い出してみる。
いっぱいいっぱいでいつまで続くのかわからない恐怖と戦っていた日々、でもそれもポン!と終了してしまえば、そこからの日々はあっという間で、、あの頃の突然の動悸やめまいや何かに飛び込みたくなるような衝動は全て一瞬にして消えてしまった。
人は「忘れる」という素晴らしい能力を持っているのだと確信する。
やっと庭の草むしりをしたり、いつものスーパーにのんびり買い物に出かけたり、あたりまえの日々。
思わず手に取ったのは黄瓜、、キンコ瓜、、
この瓜は、私の中でいつも微かな余韻を放っている、それは、とある本を読んだ証、、みたいなもの。
『風待ちの人』(伊吹有喜著)
もうずーっと前の事だけれど、テレビで見た『四十九日のレシピ』というドラマがなんとも言えず心に残っていて、
そんなある日、本屋さんで《『四十九日のレシピ』と同じ作家が書いた本です。》と店頭に並んでいたこの本を見つけ、買ってしまった本。
読み終わった時は、なんだ、四十九日のレシピみたいに響いてこないわ、、とほとんど心を動かされる事もなく、。
ところが、不思議な事に、、それ以降、ちょっとしたシチュエーションでこの本を思い出してしまうのだ。
例えば庭のハーブの周りの雑草取りをしている時に、
例えば男の人の長く伸びた襟足を見てしまった時に、
そして例えばこのキンコ瓜を目にした時に、、
2個180円で買えてしまうキンコ瓜、甘くもなく、大して美味しくもなく、
妙な余韻を私に残してくれた本、
あれ以来、なぜか、見つけると必ずこのキンコ瓜を手に取ってしまう。
キンコ瓜の夏
相変わらず、私はまだ、この本の余韻の中にいる。
記憶
覚えておこう!と思った訳でもないのに、こうしてなぜかぼんやりとだけれど記憶に残っているもの。
なにかの折に触れてふっと蘇ってくるもの、。
記憶とは摩訶不思議な世界だ。
中医学で言うならば、記憶力に関わっているのは『腎』。
中医学での五臓は西洋医学のそれとはちょっと違う捉え方なので、腎=腎臓、心=心臓、、、等ではない。
その腎が持つ『腎精』から『髄』が作られ、その髄の一つ『脳髄』は『髄の海』と呼ばれ思考能力、記憶力、視力、聴力、臭覚に深く関わっている。
だから老化により腎精が減少してくれば、物忘れ、視力減退、聴力減退、、となり、薬膳学としてはアンチエイジングには必ずこの腎を補う食薬を使う事になる。
7月の半ば過ぎに久しぶりにバッちゃん2に会いに行った。
1月のジッちゃん2の1周忌に会って以来だから半年ぶりだ。
認知症になってしまったバッちゃん2は、介護施設で暮らしている。もう、私の事など忘れてしまったか、と覚悟して行ったのだけれど、バッちゃん2は私を見つけるとすぐににっこり笑って手を振った。
「私、誰かわかる?」と聞くと、「ぺんたんちゃん。」と答えが返ってくる。バッちゃん2は、私がぺんたんちゃんだという事はわかるけれど、ぺんたんちゃんと自分とがどういう関係なのかはわからない。
バッちゃん2が認知症になったのはもう2年ほど前、。髄膜腫ができて視力を失ってしまったジッちゃん2を介護して3年ほど経ったある日、バッちゃん2は転んで骨折し、救急車で運ばれてそのまま大腿骨の手術を受けた。手術前から認知症の症状が出始めてはいたのだけれど、まだ普通の生活が出来る範囲内だった。ところが、手術後、バッちゃん2は完全なる認知症患者となって目覚めたのだ。
バッちゃん2の全ての記憶は時も場所もスクランブルされ、自制心も失って暴れだし、、私が着いた時にはベッドにくくりつけられ拘束状態となっていた。一夜にして完璧な認知症になってしまったバッちゃん2。その認知症ぶりに驚いたのはもちろんだが、更に驚くべき事が起こった。
食事の時間だというので、ベッドをウィ〜ンと持ち上げて、バッちゃん2に食べさせようと準備をする。するとバッちゃん2の首がカクンと後ろにのけぞって、まるで首の座ってない赤ん坊のようになってしまう。「首がフラフラしますねぇ。」と看護婦さんがバッちゃん2の首の後ろに枕をあてがう。
「え?バッちゃん、首、、首痛くないの?」思わず尋ねたけれど、もちろんバッちゃん2は知らんぷりで、目の前のお粥に意識は集中している。そして不安定なフラフラした首を揺らしながら、口を大きく開けている。
バッちゃん2は、この転倒骨折事件が起こる半年ほど前から、、首が上がらなくなって、何をするにも下を向いたまま生活していたのだ。少しでも顔を上げると「痛いっ、痛いっ、」と声があがる。毎日整形外科に通ってなんらかの治療を受けていたけれど、痛みは一向にひかず、顔の下向き加減は会う度に酷くなって、転倒前には、殆ど真下を向いて生活しているような状態だった。そのバッちゃんの首があろう事か後ろに横にカクンカクンと揺れ動いているのだ。
「バッちゃん、首、、首、、。」と驚く私をよそに、もくもくとお粥を食べ続けるばっちゃん2、。
バッちゃん2はきっと手術のドサクサに紛れて、自分にとって不都合な現実を記憶と一緒に全て捨ててしまったのだ。ジッちゃん2の介護からもう逃れたかった、、だからバッちゃん2は首が上がらないという病気にしがみついていたのだけれど、全て捨ててしまう事でもうこの病気にしがみつく必要もなくなったのだ。
つまり、バッちゃん2の首の病気は『腎精不足による筋骨の衰え』ではなく、『情志失調による気滞血瘀』だったのだ。そしてバッちゃん2が全てを忘れてしまった事で正常な気血の流れを取り戻し、首は完治した、という事になる。
『忘れる』という事はいかにも良くない事に捉えられがちだけれど、、こうしてみるとそうでもない。
『髄の海』の底に沈んだ記憶の砂をパラパラとフルイにかけて、嫌な記憶はポン!とdelete してしまおう。
そうすればきっと、たくさんの人のおかしな病はみんな消えてしまうんだ。
そうして、
覚えておきたいものでもなく、忘れてしまいたいものでもなく、
ただプカプカと『髄の海』に浮かび上がったキンコ瓜を眺めていれば、、それで、いい。
自然界便り
5月に生まれたカマキリ達が、元気です!
ハエを捕まえて、ご機嫌なカマキリくんです。
編集後記
毎日毎日、玄関の掃除、。
玄関先に使い古しの大きなバットを置き、新聞紙を広げ、ツバメのフン対策。
ヒナがか細い声で鳴き始め、、私のふん掃除も報われた、と、新しい命の誕生を喜ぶ。
2、3日後、、仕事から帰ってきたら、フンに混ざって大量の土、土、土、、
土が落ちている。
ヤ・ラ・レ・タ ‼︎
見上げれば巣は左半分が崩れ落ち、、
親ツバメも
ヒナツバメも
誰も いなくなった・・・
自然界はこんなもんです、、、。
厳しさと優しさの中で、、人間も動物も植物も生きているんですよね。
今月もお越し下さった皆様、新しく読者になってくださった皆様、スター、コメント、ブクマをしてくださった皆様、本当にありがとうございました。
雨ばかりの7月も終わり、いよいよ夏本番でしょうか。
暑い日々には「水出し茶」を、夏風邪には「くず茶」を!
*水出し茶
*くず茶
*8月の『薬膳酒ワークショップ』開催のお知らせ
8月13日(火) 13:00〜15:00
8月14日 (水) 13:00~15:00
夏のオススメは「山楂酒」です。
お申し込み、お問い合わせは下記のページからどうぞ。
皆様のお越しをお待ちしております。