仙人、『君・臣・佐・使』を語る
ザッザッ
ザッザッ
ぺ「ふう、、相変わらずthe草部族は手強い、。」
ヒュヒューン
パッ
仙「ぺんたんよ、、『公園で薬草園』の準備も着々と進んでおるようじゃのう。」
ぺ「あ、仙人、、もう、あちこち飛び回ってないで、仙人も手伝ってくださいよー。」
仙「よしよし、、では、。」
ザッザッ
ザザザッ
ぺ「あ、そう言えば仙人、、薬草園の準備をしていて思い出したんですけど、、方剤のお話が、、。」
仙「おぉ、そうじゃそうじゃ、中薬の話の続きがそのままであったのう。」
ぺ「はい、本題の『方剤』のお話です、仙人。」
仙「ふむ、中薬を組み合わせて作ったものを『方剤』と呼んでおるわけじゃが、。」
ぺ「はい。」
仙「ふむ、ではちと手を休めて、タイムの花と香りを楽しみながら話すとしよう。」
ぺ「はい。」
仙「ぺんたんよ、方剤の『君・臣・佐・使』を知っておるかな?」
ぺ「あ、はい。薬膳の勉強を始める時に授業の見学に行ったんですが、その時の講義が丁度その『君・臣・佐・使』だったんです。」
仙「ほぉそうか、、。」
ぺ「そうなんです、初心者には⁇なお話だったんですが、とっても興味深くて、不思議な世界でした。」
仙「そうじゃろうのう、いきなり『君・臣・佐・使』ではな。」
ぺ「アハハ、、正直、、不安にもなりましたよ、薬膳ってこんな難しい事勉強するんだぁ〜って思って。」
仙「ぺんたんよ、配合七情の話を覚えておるか?」
ぺ「はい、もちろん、『単行・相須・相使・相殺・相畏・相反・相悪』ですよね。」
仙「そうじゃ、その配伍が中薬を組み合わせて作る『方剤』にも使われておる、、と言う事じゃ。」
ぺ「なるほど、、。」
仙「薬物の効用には一長一短があるじゃろ、、。」
ぺ「あ、そうですね、作用が強いと胃に負担がかかったり、。」
仙「ふむ、そこで中薬を合理的に組み合わせていくことで偏性を調整、つまり偏らないようにじゃ、そして毒性を抑えたり、効能を増強させたり、副作用を消したり軽くしたり、していくのじゃ。」
ぺ「ほんと、食薬・中薬の配伍と同じ、。」
仙「そうじゃ、中薬同士が互いに助け合い、相反しながら総合的な作用を発揮する、これを『配伍』と呼ぶのじゃ。」
ぺ「配伍、、配合ではなく配伍、、。」
仙「『配』とは組織、組み合わせ、そして『伍』は隊列、序列の意味じゃ。一般的には分かり易く『配合』と書かれているものも多いようじゃが、。」
ぺ「ふうん、、隊列、、序列、。」
仙「『君・臣・佐・使』と言うのは方剤を組み立てる時の原則なんじゃよ。」
ぺ「原則、。」
仙「そうじゃ、君薬・臣薬・佐薬・使薬を定めて、方剤に使われる中薬のそれぞれの役目を明確にして治療効果を上げるんじゃ。」
ぺ「それぞれの役目を、。それにしても君・臣、、って、、。」
仙「ふむ、古代中国の君主政治制度からきておるのじゃろうのう。」
【 君・臣・佐・使 】(くん・しん・さ・し)
- 君薬: 主病や主証に対する治療効果が良いもの。薬効が1番強く、分量も多い
- 臣薬: ①君薬を補佐し、主病や主証に対する治療効果を高める。
②兼病や兼証に対して主に効果を発揮する。
- 佐薬: ①佐助薬; 君薬・臣薬の治療効果を高める中薬、又は直接兼病、兼証を治療する中薬。
②佐制薬;君薬・臣薬の毒性・副作用を抑えたり、激しい効能を抑制する中薬
- 使薬: ①引経薬;諸薬の効能を疾病のある特定の部位に発揮させる中薬
②調和薬;諸薬の性質・味を緩和し、飲みやすくする中薬
ぺ「ハァ、、こうやって書くと難しそう、。」
仙「以前、ぺんたんが言うておったじゃろ。」
ぺ「え、何を?」
仙「これじゃよ。」
ぽん
『例えば熱血漢のリーダータイプの人がいて、グイグイみんなを引っ張ってくれそうなんだけど、ちょっと暑苦しいところもあるから、側に冷静沈着なサポートを置いて、そんでもって、そのリーダーの若干アクの強い部分をさらっと打ち消してくれる人もいれておく、その上で、みんなをまとめ、目的地へと誘導してくれる道案内人も忘れずに、、。
こんな風にして出来上がったひとつのグループが「方剤」で、グループ名「腎気丸」なんて名前で呼ばれる訳です。』
ぺ「あ、月刊仙人life 9月号で書いた、、。」
仙「大雑把に言うならまさにこの通りじゃ。熱血漢のリーダーが君薬なら、協力しながら冷静に補佐するのが臣薬、アクの強さを打ち消してくれるのが佐薬で、皆をまとめる道先案内人が使薬、と言う事じゃな。」
ぺ「ふむふむ、、。」
仙「ぺんたんよ、『黒ごまとなつめの薬膳茶』を覚えておるかのう?」
ぺ「あ、、はい、マスターが‘仙人社で皆さんに振る舞っていた、。」
仙「あの薬膳茶で言うなら、『黒ごま』と『なつめ』が君薬、そしてその黒胡麻をしっかりと腎へ案内する『塩』が、、。」
ぺ「わかった、『塩』は使薬って事ですね。」
仙「そうじゃ、塩が引経の役目を果たしておるのじゃ。」
ぺ「そっか、、。」
仙「方剤はな、全てが君・臣・佐・使でできておるわけでもないんじゃ。」
ぺ「あ、、はい、。」
仙「君薬と臣薬だけの配伍もあれば、君薬・臣薬・佐薬だけのものある。君薬や臣薬もひとつとは限らんしな。」
ぺ「へへ、私は好きですよ、君薬と臣薬だけの方剤、、。だって覚えやすいもん、、。」
仙「皆が病院などで処方される漢方薬も『君・臣・佐・使』でできておるのじゃ。」
ぺ「そうなんですね、、何気なく飲んでいる漢方薬も、、。」
仙「最後に方剤の具体例をひとつ挙げておくとしよう。」
ぺ「はい!」
仙「わかりやすい配伍の『四君子湯(しくんしとう)』じゃ。」
君薬 : 人参(にんじん) 甘温益気・健脾養胃
臣薬 : 白朮(びゃくじゅつ)健脾燥湿・益気助運
佐薬 : 茯苓(ぶくりょう)健脾滲湿・祛湿
使薬 : 甘草(かんぞう) 益気和中・調和諸薬
効用:益気健脾
主治:脾胃気虚証
*注意 中医学での「人参」は吉林人参・朝鮮人参を指します。 混同しないよう、食材の「にんじん」は平仮名で表記される事が多いです。
*「方剤のお話①」はこちら
*「黒ごまとなつめの薬膳茶」はこちら
*「食薬の配合七情」のお話はこちら
仙人問答
ぺ「仙人、方剤はまだまだ難しくてわからない事ばかりだけど、ちゃんと勉強すると薬膳を作るのにもとっても役立ちますねー。」
仙「ふむ、。焦らず、気長にのんびりとな、。」
ザッ
ザッザッ
ぺ「はい、、『公園で薬草園』の準備ものんびり、、と言いたいところだけど、、、そうはいきませんよ仙人!苗が育ってきてますからねー。えーいThe 草部族、、覚悟しろぉ〜〜〜‼︎」
ザザザザッーーーーー