食事のバランスを陰陽で考える
バタバタ
パタパタ
ピピピッ
仙「ぺんたんよ、何やら忙しそうじゃのう。」
ぺ「はい仙人、、。実は友人から相談ごとが、」
仙「相談?」
ぺ「ええ、友人のサンゾーちゃんからメールが来て、サンゾーちゃんのお知り合いの方が冷え性と食欲不振で悩んでるから、なんとかして〜〜〜!って、、」
仙「ほぉ、それはお気の毒に」
ぺ「でも、、サンゾーちゃんからの情報が少なすぎて、、
『下半身の冷えが酷くて、かかりつけの心療内科で八味地黄丸を処方され、それを飲んだら食欲がなくなって、六君子湯で何とか食欲を維持してる感じ、でも薬じゃなくて治したいんだけど、薬膳酒とかで何かオススメない?』みたいな、、」
仙「ふむ、それでは判断は難しいのう」
ぺ「そうなんですよ、それで、ぺんたん、その方に直接メールしてあれこれ質問してみたんです。」
【 症状 】
- 60~70代女性、昨年ご主人を病で亡くされ現在1人暮らし
- 冷え性は中学生の頃から、今は下半身の冷えが酷い
- 上半身の汗
- 食欲不振
- 食材の味がしない
- のぼせ・めまい 無し
- むくみ 無し
- 胸のつかえ、ゲップ 無し
- 手足の痺れ 無し
- 下痢・便秘 無し
- 尿 夜中1、2回、昼間2時間おき、尿量少量、チョロチョロ
- うつ 有り(昨年、ご主人が病気になり入院された頃から、今はやや改善)
- 睡眠 以前(ご主人が亡くなった時)より改善
- 以前は甘党
【 漢方薬 】
-
「帰脾湯」(昨年10月初〜2週間で中止)
-
「六君子湯」(昨年10月中〜現在も)
-
「八味地黄丸」(今年6月〜1週間で中止)
-
「桂枝茯苓丸」(八味地黄丸の後〜中止)
仙「ふむ、で、どのように考える?」
ぺ「はい、まず、冷えに関しては病程が長いので、虚証です。」
仙「確かにのう、。」
ぺ「食欲がない、という症状から脾胃の虚証と考えられます。」
仙「脾胃は、食べたものを栄養に変えて運ぶ役目を担っておるからのう、」
ぺ「食材の味がしない、というのも脾胃虚弱の影響かと、」
仙「『脾は口に通ずる』じゃ。脾胃が元気なら味も美味しく感じられる。」
ぺ「汗が出やすいという事、尿がチョロチョロとしか出ないという事、これは『気虚』の症状です。」
仙「気は汗や尿の出を引き締めたり、又尿や便の排泄を促進する力を持っておるからのう」
ぺ「冷えに関しても、気が不足しているからかと。」
仙「ふむ、気は体を温めたり冷ましたりして、体温を維持する役目も担っておるからのう。」
ぺ「そして、中医学の七情、つまり内因、これが一番重要だと思うのですが『思、憂は脾を傷つける』です。」
仙「ご主人のことで思い憂う日々が続いた事じゃろう、脾が弱るのも無理はない。」
【 食生活 】
《 朝食 》
- バナナジュース
- コーヒー&ミルク
- フランスパン&バター&ジャム
- ベーコンエッグ
- トマト、キュウリ、レタス、貝割れ
- コーンフレーク
- ドライフルーツ&ナッツ
- 素麺&納豆
- 又はチャーハン等
- その他、有り合わせ
《 夕食 》
- ご飯半膳
- 主菜:牛肉、豚肉、鶏肉等
- 副菜:和物、煮物等
- ヨーグルト
- ハーブティ
- もろみ酢
仙「ウホホッ、、これは、、」
ぺ「そうなんです、仙人、。冷え性にも関わらず、『気』『陽』を補うものが殆どないんです。
仙「特に朝食じゃのう。」
ぺ「はい、ホテルの朝食かと思うようなオシャレで素敵な朝食なんですが、、」
仙「タンパク質、野菜、果物、牛乳、、一見バランスの取れた良いメニューに見えるが、これを薬膳の観点で解説し、わかりやすく説明する必要があるのう。」
ぺ「はい、薬膳の事はご存知ない方だろうと思いますので、出来るだけわかりやすく、と思って、単純に『陰』『陽』に分けて説明する事にしました。」
仙「おぉ久しぶりの "yoo yoo yo yin yoo 〜〜♪" じゃ。」
ぺ「滋陰類、清熱類を『陰』とし、補気類、助陽類を『陽』として分けてみたところ、、」
《 朝食 》
- バナナジュース
- コーヒー&ミルク
- フランスパン&バター&ジャム
- ベーコンエッグ
- トマト、キュウリ、レタス、貝割れ
- コーンフレーク
- ドライフルーツ&ナッツ
- 素麺&納豆
- 又はチャーハン等
- その他、有り合わせ
《 夕食 》
- ご飯半膳
- 主菜:牛肉、鶏肉、豚肉、等
- 副菜:和物、煮物等
- ヨーグルト
- ハーブティ
- もろみ酢
仙「全体的に『陽』が少ない、特に朝食はall yin じゃ。」
ぺ「はい、朝食に1番大事な『気』を補う食材がひとつもないんです。」
仙「これを毎朝食しておれば冷え性になるのは最もな事じゃな。」
ぺ「はい、この朝食は改善せねばなりません!ベーコンをチキンかサーモンに、とか、野菜類にキャベツや玉ねぎを、、とか細かい指示を出しても良いのですが、薬膳のことがわからない方にそれを言っても無理だと思い、思い切って、」
仙「思い切って、、」
ぺ「朝食を和食に!お粥に!と、提案してみました。」
仙「ウホホッ、、お米は重要な補気の食薬〜。」
ぺ「洋食にすると、やはりパンを取り囲むエトセトラが、、どうにも『陰』のものが多くって、、」
仙「バターにチーズ、ベーコンにエッグ、牛乳、その上、甘いジャムなど、陰と湿の食じゃからのう、、」
ぺ「脾は湿気が大嫌い!陰のものばかりでは、脾土はどんどん泥々になり弱る一方。ですからパン食はやめにして、、と言いたかったのですが、、」
仙「なんじゃ、言ってないのか?」
ぺ「は、、い、それは言えず、『朝食は和食にして、昼食にはこの朝食メニューや素麺、蕎麦などに、、』と言ってしまいました。」
仙「why ?ジャパニーズピーポー?」
ぺ「だって仙人、この方のこの食生活のメニュー見ると、朝食に1番リキが入ってる感じがしません?」
仙「それはそうじゃが芋、、ウホッ」
ぺ「1日のうちで1番のお気に入りのメニューだったとしたら、食欲不振で悩んで見える方のお気に入りを取り上げる訳にはいきませんよ、。それに『どれも少しずつです』と言ってみえたし、。勿論、チキンやサーモン、キャベツに玉ねぎ、きのこ、野菜スープのオススメ、豆乳、オーツミルクなど細かい注意事項はお伝えしましたけどね。」
仙「ウホホッ、優しいところもあるようじゃが芋、」
ぺ「もうっ、仙人!」
仙「それで納得して頂けたのかのう、」
ぺ「はい、1日の陰陽に合わせ、説明してみました。」
- 朝はまだ陽気が少ないので『陽』を中心に
- 昼間は陽気が盛んなので『陰』を取り入れても良い(特に今は暑い時期なので)
- 夜は陰気が盛んになるので『陽』を中心に
仙「陰陽のバランスは何よりも大切じゃ。中医学では薪と水に例えられる事も多いが、薪ばかりくべても水がなけれが空焚きになって体は火照り(陰虚)、反対に水が豊富でも薪がなければ体を暖める事はできない(陽虚)。『陽』を補わず『陰』のものばかり補っていては、体は冷えていくばかりじゃ、」
ぺ「はい、陰は重いので沈み、陽は軽いので昇る」
仙「下半身は冷え、上半身は気が不足しておるのでやたらと汗をかく、」
ぺ「でも仙人、幸いにも、この方は料理がお好きで『作るのは苦になりません』と仰って下さったので、補気・助陽・養血・滋陰・理気・活血類の食薬を書き出して、送らせていただきました。」
仙「ほぉほぉ、それは頑張ったのう」
ぺ「もちろんです。この方の場合、食生活を改善すればかなりの効果が期待できます。ここは薬膳パワーをしっかり発揮したいところですから、説明のメールや添付書類に莫大な時間を費やしましたよ♪」
仙「そうか、、では、ぺんたんよ、処方された漢方薬についても少し見ておくかのう。」
ぺ「はい、方剤の勉強になりますから、。」
- 「帰脾湯」(気血双補剤)
- 「八味地黄丸」(補陽剤)
- お粥
- 味噌汁
- 黒豆
- たらこ
- にんじんのきんぴら
- きゅうりの糠漬け
仙「おぉおぉお粥、、これは美味そうな朝ご飯じゃ」
ぺ「ほんと、、お粥の朝食にしてくださってこれでバッチリ『気』を補えます。で、昼食はこちら、」
《 昼食 》
- ミニピザ
- バケット
- チーズ
- ミルクコーヒー
- マンゴーとバナナのジュース
【 補益類の食薬 】
*補気類の食薬
*助陽類の食薬
*養血類の食薬
*滋陰類の食薬
*七情のお話
*気虚体質オススメの薬膳
*陽虚体質オススメ薬膳